人材育成

従業員が企業継続の原動力であるという認識のもと、人材育成を重要課題の1つとして捉え、長期的な視点で取り組んでいます。

従業員活躍の推進体制

2015年1月には総務人事部に人材育成課を新設し、従業員全員がやりがいを持って働き、その活躍を推進できる体制を構築しました。人材育成課は今後の経営を担う人材として、①自ら考え行動することができる人材育成、②社外のどこでも通用するプロ人材育成、③当社のDNAを継承できる人材育成、④事業を任せられる経営幹部人材育成を目指しています。

経営理念の浸透

経営理念手帳

ウッドワンの経営理念「業界一流のメーカーとして、本業を極め、本業に徹し、一流の商品をお客様にご提供することを通じて、社会の発展に貢献する」は1964年に制定されました。2002年の創立50年を機に従業員一人ひとりがウッドワンのDNAを意識し、経営理念を実践していくために経営理念手帳を発行し、経営理念の浸透に取り組んできました。

特集 人的資本戦略 ―ウッドワンを支える人づくり―

ウッドワンでは、人材を最も重要な経営課題であると認識しています。事業の新たな成長を促し、さらなる企業価値向上の原動力となるのは従業員一人ひとりの「プロフェッショナルなスキルと挑戦力」にあります。そこで人材とそれを育む組織風土を強靭化するため、20年ぶりに人事制度を見直し、新たな人材育成を目指した人づくりと組織づくりの改革を行いました。

人材育成の取り組み

当社は、人材ビジョンを「木と人を観る力・活かす力で、独創的な新市場を創り続け、『木のぬくもりと豊かな暮らし』を世界の人々に提供し続けるプロフェッショナル人材」と定義づけ、人事ポリシーを「成果・組織貢献に報いる仕組みを設け、各人と当社の成長のためにチャレンジする行動力のある人材を生み出す」と定めています。従業員一人ひとりの自主自立を軸に、各人の成長に繋がり、また当社の成長戦略を実践することのできる人材育成を目指しています。

人事制度改革の推進

従業員とのコミュニケーションを図り、従業員の能力開発や組織全体を強化するための社内環境整備面での取り組みとして人事制度の運用を見直し、2023年4月より人事制度を改正し、運用を開始しています。
また、この人事制度は女性労働者の仕事と育児等の両立支援に係る育児休暇、時短勤務、職場復帰や、男性社員による育児休暇の各種制度と併せて、女性・若手の活躍、シニア社員等高齢者の活躍にも対応できるものとなっています。さらに変化の激しい市場環境に対応し、スピード感をもって事業を創造できるスペシャリストの活用を強化するための専門職制度等の仕組みも導入しています。

社内環境整備に関する指標と目標

当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備において、以下の指標と目標を掲げています。定量的な目標設定については重要な経営課題と認識し、早期に対応できるよう取り組んでいきます。 当該指標に関する実績は以下の通りです。

指標 目標 実績(当連結会計年度)
男性労働者の育児休業取得率 男性労働者の子育て目的の休暇取得促進 83.3%
従業員の男女の賃金の差異 女性労働者の役職者の育成・登用の促進
女性労働者が安心して長く働ける職場の環境整備
73.3%
実績の詳細は、以下をご参照ください。
有価証券報告書-第71期「第一部 第1 企業の概況 5 従業員の状況 」

「第三の創業」に向けて

人事制度改正の目的

新人事制度は、現在の当社のビジネスモデルや働き方改革に合わない箇所の見直しを行い、次世代を担う若者やシニアの従業員にも活躍しやすい場を提供する制度の設計を付加したものです。改正にあたっては、「第三の創業」の達成を基盤整備の面からバックアップすることを目的としており、経営戦略を実行できる組織・人材づくりに繋げていきます。
新人事制度は育成・評価・報酬の3つの方針の下、職責に応じて細かく要件を設定し、人事委員会での審査によって評価を決定しています。

  • 達成方針

    従業員一人ひとりの自主独立を軸に、各人の成長に繋がる育成を目指す。

  • 評価方針

    一人ひとりの成果・成果の最大化に向けた行動、組織貢献を軸に各人の成果を反映したわかりやすい評価を目指す。

  • 報酬方針

    一人ひとりの成果・組織貢献・チャレンジを軸に、各人の成果・努力・自己成長に報いる処遇を目指す。

人事評価制度

人事評価においては管理職(マネージャー)・専門職(スペシャリスト)・非管理職(ジェネラリスト)ごとに等級・目標を細かく設定し、目標に対して行動した過程と成果を評価しています。目標は業務単位、組織目標単位、全社的な領域である経営戦略の3段階で設定され、それぞれの段階でのPDCAを動かすことで全社戦略の連鎖性を強化しています。

・マネージャーライセンス制度

今後の経営を担う人材を育成することは、当社の成長に欠かせない仕組みです。①自ら考え行動することができる人材、②社外のどこでも通用するプロ人材、③当社のDNAを継承できる人材、④事業を任せられる経営幹部人材、の育成について積極的に取り組んでいます。
その1つとして、人事制度ではマネージャーライセンス制度を取り入れています。マネージャーライセンスは職責の大きさとマネージャーの力量のギャップを少なくするため、ジョブサイズによる任用に加え、マネージャーライセンス及び上級マネージャーライセンスを取得していることを必須条件とします。マネージャーライセンスを取得する従業員は、マネジメント研修を修了したのち適性検査、論文でのプレゼンテーションを経て人事委員会で審査し決定されます。

・シニア制度

当社では、60歳定年を迎えたあともシニア従業員として活躍いただけるよう、再雇用の道を拓いています。等級と評価に応じて再雇用のコースを振り分け、再雇用後の役割を決定することで、本人の希望と会社側の判断がマッチした無理のない活躍の場を提供しています。

ウッドワンの人材育成

成長戦略の基盤となる従業員の適材適所を制度の運用面でバックアップしていきます。

当社では、人的資本強化の取り組みとして専門職層(スペシャリスト)認定を実施しています。専門職層内に3段階の等級を定め、5つの評価区分によって認定される仕組みです。改正前は等級区分が1段階しかなかったので運用がうまくできない面がありましたが、今回から3段階の等級を設けることで、専門性のレベルや業務範囲を広げることが可能な設計となりました。専門職層認定は上長の推薦を前提に本人が申請する仕組みとなっており、従業員の自主性、やる気をより重視しています。
このように人事制度を活用し、従業員のスキルアップや適性を引き出すことと、適材適所の配置を行うことで各部門が活性化し、従業員の中から広く次世代リーダーを輩出していくことを期待しています。
よく制度3割、運用7割とも言われますが、今回は人事委員会を設置し本来クローズドな場所からも変革することで全従業員が制度を理解し、経営戦略を基盤面から支えたいと考えています。

スペシャリスト認定が自信につながり、知識や経験を共有しながら木材特性を表現できる商品開発を目指したい。

私は26年間、着色・塗装での職務経験があり、塗装では溶剤から無溶剤、着色では溶剤系からアルコール系、水性を扱った生産を行ってきました。スペシャリストを目指したのは、こうした知識と経験を部門内に留まらず広く共有することが重要であり、属人化を解消するためにも業務を可視化していきたいと考えたからです。認定されたことは自信につながりますし、これまで以上に責任を持って業務を遂行し、成長していきたいと思います。業務内容自体はこれまでと変わりませんが、グループ工場からの依頼で問題が起こった際の対処方法を共有し、新たな生産の受け入れ等もしています。
今回の制度改正によって、スキルアップを目指したい人は制度活用ができるようになりました。今後はテクニカルエキスパートという技術系専門職の一員として持ち前の向上心を活かし、木材の特性を表現できるような商品開発を目指して会社に利益を生んでいくことができるようになりたいと思っています。

技術系スペシャリスト認定はデザイン業務に特化した自分のスキルアップに最適でした。

私が専門職層認定を受けたのは、建材メーカーの中では珍しくデザイン業務に特化したスキルを持つ自分が成長することが会社の価値になると考えたからです。通常の昇級の場合、マネジメント要素が強くなるので責任を過剰に感じやすい自分には荷が重く、以前は昇級にあまり意欲が湧きませんでした。しかし技術系スペシャリストであれば、今の専門性を磨くことが直接的に会社への貢献になります。立ち位置が明確化したことで自信もつき、営業職や生産現場のメンバーに対し、自分の専門性を意識した提案、意見をどんどん言えるようになりました。
私のように技術はあっても管理職になりたいという意欲が薄い社員の場合は、技術系スペシャリストという管理職層ではない別の道筋で適切に評価される道が拓けたことはとても大きいと感じています。得意な分野でスキルを磨くことができ、その結果、現場の効率化や生産品質が高まることで会社への、ひいては社会貢献につながると思います。

事務職スペシャリストとして営業チームをバックアップ。業務効率化とレベルアップ面で貢献したい。

私はいつも営業事務職のバックアップが業績を支えていると自負して勤務していますが、従来の人事制度では実務評価を受けても外勤営業とは異なり業務範囲が限られているため昇進・昇格等は難しいと思っていました。人事制度改正と同時期に営業バックオフィスの組織変更によりインサイドセールスという明確な役割が与えられたことで、外勤営業というチームを支え、押し上げるとともに自身の専門性も発揮できる。これこそが自分にとって進みたい道だと感じ事務系スペシャリストを希望しました。
スペシャリスト認定後は「知識を持つ・知識を伝える・効率的に仕事をする」ことをより意識するようになりました。業務の効率化を進め、チーム全体がよりよい環境で動けるように、声を出して業務にあたっていきたいと思います。
ワークライフバランスについてはまだ課題も多く、子育て世代に限らずさまざまな世代がフレキシブルに業務を遂行できる環境づくりが必要だと感じています。