事業活動にともなう環境負荷低減のための取り組み

省エネルギーや省資源など、生産や販売などの事業活動にともなう環境負荷の低減に努めています。

環境目標と実績

2022年度は2021年度をベンチマークとして環境目標を設定しましたが、収納3連ドアの生産方法の変更に伴いジクロロメタン含有の接着剤からホットメルト系接着剤に変更したため、PRTR対象物質使用量は対前年比15.6%の減少となり、削減目標を達成することができました。
使用電力量については対前年比で原単位1%削減を目標に活動した結果、対前年で原単位2.5%減少と目標を達成することができました。

環境目的 2022年度目標 実績
環境に配慮した製品開発 PRTR対象物質
2021年度比5%削減
2022年度目標達成
(15.6%減少)
環境負荷の低減 使用電力2021年度比
原単位1%削減
2022年度目標達成
(2.5%減少)

使用電力量の削減

当社では、特に生産工程で電気を多く使用しており、省エネが重要な課題となっています。
このため、生産工程におけるロスの改善や、電力消費量の多いコンプレッサーのエアー漏れ対策及び、電動機の省エネタイプへの変更等の消費電力対策などを実施し、使用電力量の削減に努めています。

電気使用量の推移(直近5年)

参照:環境会計

有害物質・化学物質の管理

生産活動にともなう環境負荷の発生を最小限にするために、大気や水質などの汚染予防活動を実施しています。そこで、まず各事業所の実態を把握するために、環境側面を抽出し、社内基準の環境リスク基準をもとに評価しています。評価の結果、環境影響が著しく大きいと判断された環境側面に対しては、目的と目標を設定して改善活動に取り組んでいます。また、作業手順書に落とし込み、その基準を遵守することにより、環境負荷の低減と汚染の未然防止に努めています。

大気汚染防止の取り組み

2008年4月より、「廿日市桂公園測定局(一般局)」の開設にともない、本社のある廿日市地区において、光化学オキシダント※1の緊急時発令が実施されることになりました。当社では、広島県環境対策室からの依頼を受け、大気汚染緊急時における排出ガス量等の削減に協力することになっています。
当社のバイオマス発電所から排出する大気汚染物質には、窒素酸化物、硫黄酸化物等があります。その中で、光化学オキシダントの原因となる窒素酸化物を主に削減することになります。SOx(硫黄酸化物)排出量、NOx(窒素酸化物)濃度ともに法規制値以下を遵守していますが、発令を受けて、さらに総量規制を敷き環境汚染の進行及び健康被害の発生防止に努めています。

水質汚濁防止の取り組み

生産工場の多くは、海または河川に面しているために、工場排水がそのまま海に流れてしまうと海洋汚染や河川の水質汚濁につながります。従来から、排水については自主基準を設けて管理してきましたが、工場から排水を一切流さなければ、水質の汚濁もなくなるため、排水ゼロを目指して活動してきました。現在では、工場から出る排水は、ボイラーの管理された排水とコンプレッサーのろ過された排水のみとなっています。また、万一の漏洩事故等の緊急事態に備えて作業手順書や監督官庁への連絡網も整備しています。今後も現状を維持管理し水質汚濁防止を図っていきます。

ろ過器
参照:事業活動と環境への影響

化学物質の管理

PRTR法※2の施行を受け、使用化学物質を管理し、排出量や移動量の届出をしています。環境へ排出している物質で届出対象となった物質は、ジクロロメタンと酢酸ビニルでした。そのほかではホルムアルデヒドの使用量を490kg/年間まで削減した結果、PRTRの届出が不要になるレベルまで低減できました。

化学物質の専用保管庫

届出対象物質

※1 光化学オキシダント;工場の煙や自動車の排出ガスなどの大気中に排出された窒素酸化物や炭化水素が、太陽光線によって複雑な光化学反応を起こして作られるオゾン、PAN、アルデヒドなど酸化性物質の総称で、その約9割はオゾンです。光化学オキシダントによる大気汚染を光化学スモッグといいます。
※2 PRTR法;特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律。第一種指定化学物質の排出量及び移動量が年間1t以上(特定第一種は0.5t以上)の事業者はその物質について国に届出をすることが義務付けられています。

廃棄物削減への取り組み

循環型社会の構築のためには、廃棄物の発生抑制、再使用、資源化の促進が必要です。ウッドワンでも廃棄物の削減の重要性を認識し、抑制する活動を行っています。それでも発生した廃棄物については、熱回収等でリサイクルに利用しています。引き続きリサイクル促進に取り組み、廃棄物の削減はもとより最終処分で有効活用できるように努めます。

廃棄物排出量の推移(直近5年)

金属くずは有価物として売却しているため、廃棄物の排出量には含めておりません。
木くずはバイオマス発電の燃料として再利用しているため、廃棄物の排出量には含めておりません。

ペーパーレス化の推進

ウッドワンは、資源保護、輸送時に発生するCO₂排出量の削減、廃棄物削減のためペーパーレス化を推進しています。ペーパーレスFAXへの切り替え、Web会議の活用、電子帳票システムの導入のほか、2022年には全営業部門の受発注業務の完全ペーパーレス化を実施しました。引き続き紙資源の一層の削減に努めます。

コピー用紙購入量の推移(直近5年)

輸送時の環境負荷低減

排出ガスの削減

輸送手段としてはトラックが中心ですが、当社では環境への影響を考え、モーダルシフトを推進しています。具体的には、北海道への輸送は船を利用しています。また、一部を鉄道コンテナへ変更するなど、環境負荷の低い輸送手段に転換しています。物流倉庫での作業においてはフォークリフトを軽油車からバッテリー車に変更することで社内でも環境負荷の低い運搬手段をとっています。また、積み山を一定にしたり、パレット枚数を減らしたりすることでトラック1台当たりの積載量を増やし、トラック台数の削減にも努めています。さらに、ドライバーの安全教育とともにアイドリングストップを励行しています。

資源の有効活用

建築中の施工現場において、一般的に階段などは保護シートを用意する必要がありますが、当社では梱包材を有効利用することで省資源に努めています。階段部材の梱包用段ボールは施工現場で開梱後、施工中のキズを防止する保護材として使用できます。また、1本の木を有効活用するため、ニュージーパイン®の原木から製品用として取った後の残材(芯材)を物流用のパレットとして使用しています。このパレットは納品先で有効活用されるとともに、適宜回収して資源の有効活用をさらに進めています。

自社製パレット
保護材として再生可能な階段部材の段ボール

環境省の補助事業に採択される
「植物原料を活用した木質材料用接着剤の開発とその実用化に向けた実証事業」

背景

当社がニュージーランドで植林しているニュージーパイン®を最大限に活用し、さらに、化石由来の接着剤の使用量を削減するために、ニュージーパイン®の樹皮を利用した環境に配慮した接着剤の開発に長年取り組んできました。従来、植物を原料とした接着剤の開発では、植物成分から成分を抽出して濃縮、乾燥する工程が必要となり、製造エネルギーが大きくなりCO₂排出量も大きくなることが課題でした。そのため、当社では成分の抽出を行わずに樹皮全てを活用し、低エネルギーで製造できる接着剤をコンセプトに、2017年に構造材に使用できる接着性能を有する接着剤を開発し合板の試作に成功しました。

この技術を実用化するために、2022年に環境省の補助事業に応募して2年間の事業として採択され、現在、量産技術の開発を進めています。この補助事業では、化石由来資源の再生可能資源へ代替、またはリサイクルの難しい使用済みの化石由来資源の新たなリサイクルプロセス構築を行うことにより、プラスチック等の資源循環システムを構築し、併せてエネルギー起源CO₂排出を抑制することを目的としています。

補助事業の名称

令和4年度「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金 脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業」のうち、「化石由来プラスチックを代替する省CO₂型バイオプラスチック等(再生可能資源)への転換及び社会実装化実証事業」

事業期間

2022年7月~ 2024年3月

脱炭素型循環経済システムの構築

出典:環境省HP