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2024.02.16

持続可能な森林経営を支援する森林認証とは  FSC®認証、FM認証、CoC認証の違いは?

2024.02.16

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中條 聖子

人材採用(新卒・中途採用)に関するメディア、会社案内・入社案内、PR誌、社内報・会報などの編集・原稿制作を手がけています。また、現在はボランティアなどの市民活動に関するジャンルの取材・情報誌の編集を中心に携わっています。

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森林を健全に保つことは、地球の環境を守る上で重要です。現在、世界的な森林の減少や状態の悪化が問題となっており、それを改善する取り組みが行われています。

その一つとして挙げられるのが、持続可能な森林経営を支援するための森林認証です。これは森林資源の持続可能な利用・活用と管理・保全を促進し、環境への影響を最小限に抑えることを目的とする制度です。

今回は、森林認証制度の種類や、それぞれの特徴・違いについて取り上げていきます。

森林認証とは

森林認証は、森林の持続可能な利用・活用と管理・保全を図るための制度です。

認証を行うのは独立した第三者機関で、次の2点を骨子としています。

1.森林経営の持続性や環境保全への配慮等に関する一定の基準に沿って森林またはその経営組織などを認証する

2.認証された森林から産出される木材及び木材製品を分別し、認証材として表示管理する(ラベルを貼り付ける)

 

森林認証にはいくつかの種類があり、それぞれに基準が設けられていますが、一般的には次の内容が含まれています。

・国内外の法律・規則等を守ること

・森林の状況、施業の結果、生産の結果等をモニタリングによって把握すること

・森林に関する長期及び短期の経営計画を立てること

・環境や地域社会等に配慮した森林経営を実践すること

市場には森林破壊につながる方法で生産された木材も流通していることから、これを排除し、森林を健全に管理して適正に流通・加工を行う事業者を支援する目的を持っています。

この認証を取得すると製品に認証ラベルをつけることができ、消費者もそれを目安に選択・購入ができるようになりました。

身近な製品では、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ノート、紙おむつ、飲料用紙パック、冷凍食品の紙トレーなどにラベリングされています。

こうした製品を選ぶことで、私たちも環境保全に貢献できるのです。

森林認証の種類と違い

次に森林認証の種類を見ていきましょう。国際的な制度と日本独自の制度があり、それぞれ異なる側面に焦点を当てています。

FSC®/Forest Stewardship Council®(森林管理協議会)

FSC認証の仕組みは、森林の管理を認証するFM認証と、加工・流通過程の管理を認証するCoC認証の両方を審査するというものです。

最終製品になるまでのプロセスに関わるすべての組織が認証を受けなければならない広範な制度で、認証されるとFSCラベルのついた製品として市場に流通します。

森林管理協議会は環境、社会、経済のバランスに焦点を当て、森林の適切な管理、生態系の保全、地域社会の権利尊重などを評価する世界統一の10の原則と70の基準により世界的規模で認証を実施しています。

FM(Forest Management)認証

前述のFSC認証における理念である「環境保全の点から見ても適切で、社会的な利益にかない、経済的にも継続可能な森林管理」に基づき、これを具体化したのがFM認証の規格です。

審査は以下に挙げるFSC森林管理の10原則に沿って行われます。

1.法律の順守

2.労働者の権利と労働環境

3.先住民の権利

4.地域社会との関係

5.森林のもたらす便益

6.環境価値と環境への影響

7.管理計画

8.モニタリングと評価

9.高い保護価値

10.管理活動の実施

認証には単独認証とグループ認証があり、小規模な事業者に便宜を図っているのも特徴です。
また、世界各国の実情に応じて国内規格を策定することができ、日本でも2018年にこの規格が承認されています。

CoC(Chain of Custody)認証

CoC認証は、「Chain of Custody=管理の連鎖」を目的とし、森林から生産工程を経た最終的な製品が市場に出るまでの全過程を対象としています。この認証は木材や製品が持続可能な森林経営から生産され、それがすべての過程で追跡可能なことを保証するものです。

対象となる事業者は、伐採業者、加工業者、製造業者、流通業者、印刷業者、小売業者など。それぞれの過程にはルールがあり、それを満たしている必要があります。

CoC認証を取得することができれば、製品の原材料が環境と社会に責任を持った方法で調達され、かつ不適格なものが混ざっていないことを証明できるのです。

認証には単独認証とグループ認証の他に、マルチサイト認証という方式もあります。これは同一の組織が複数のサイト(工場や関連会社など)を持っている場合などが対象となります。

PEFC(Programme for the Endorsement of Forest Certification schemes)認証

<認証管理団体:PEFC森林認証プログラム>

PEFC認証は世界各国の森林認証制度と相互承認を行う国際認証制度です。

国ごとの認証制度が持つ独立性と自主性を尊重しつつ、各制度間の一貫性と適合性を実現することでレベルの高い認証を維持する目的を持っています。

世界の森林は約25%が家族経営や地域所有などであるという現状を踏まえてグループ認証を実施。森林経営をサポートしています。

FSC認証と同じくCoC認証を行っており、認証された製品は環境、社会、倫理的に最高水準の規格で生産されていることを証明するPEFCラベルをつけることができます。

SGEC(Sustainable Green Ecosystem Council)認証

<認証管理団体:一般社団法人緑の循環認証会議>

SGEC認証は日本独自の制度で、PEFCと相互承認を行っています。日本には人工林が多いことや零細な森林所有者が多いという実情に応じた制度として創設されました。

審査は以下に挙げた7つの基準によって実施されています。

1.認証対象森林の明示及びその管理方針の確定

2.生物多様性の保全

3.土壌及び水資源の保全と維持

4.森林生態系の生産力及び健全性の維持

5.持続的森林経営のための法的、制度的枠組

6.社会・経済的便益の維持・増進及び地球温暖化防止への寄与

7.モニタリングと情報公開

この制度は森林管理に関する環境、社会及び経済の分野を網羅し、国際性を持ったものとして運営されています。

ウッドワンは全森林・全工場でFSC森林認証を取得

森林資源の再生と活用 | 環境 | サステナビリティ | WOODONE

ニュージーランドに約40,000haの森林を所有するウッドワンでは、同国の全森林(FSC-C013648)・全工場(カイタイア地区の工場/FSC-C014204、ワイララパ工場/FSC-C009303)でFSC認証を取得しています。

また、フィリピン(FSC-C022435)、中国(FSC-C023820)、インドネシア(FSC-C131982)、日本(FSC-C043904)国内の木質建材工場でも認証を取得。

前述の森林管理認証であるFM認証と、加工・流通過程の管理認証となるCoC認証をそれぞれ取得することで、一貫した森林認証製品の出荷体制を確立しています。
適切な森林管理と、製造・加工・流通の全工程で製品を管理することにより、木材の有効活用と環境保全・共生に取り組んでいます。

詳しくはサステナビリティサイトをご覧ください。

森林資源の再生と活用

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