
受賞無し
2025年度
静岡県
富士箱根伊豆自然公園内の大室山の麓に建つ小さな家。切妻や軒先などデザインの制約があるなかで、大室山の稜線に溶け込むように3寸勾配の大屋根を優しくかけ、内部においても大室山へ続く緩やかな台地を表現した建築空間とした。建築のコンセプトとして「ミニマル」「ノイズレス」「グレアレス」という概念のもと、素材本来の質感や手触り、温度感までも感じられるような素材を探し求めていくと、WOODONEの浮造りの木にたどり着いた。日本の伝統的な加飾技法である浮造りは、木肌の持つ温もりのほか光の反射を抑えた落ち着いた空間づくりに適した素材だった。浮造りの床に落ちた自然光は優しく吹き抜け空間を駆け上り、夜間の薪ストーブの灯りは家全体を包むかのように暖かい色に変換し、広がりと奥行を持たせ建築空間づくりに繋がった。WOODONEの素材と工務店に恵まれ、丁寧に作られた建築は作り手の温もりも感じることができる建築となった。