保育園の新しい一歩に寄りそう、無垢の木たち。

子どもたちに関わる全ての人の笑顔をつなぐ、「地域おやこ園」へ。

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株式会社リンクス
フェアリーグループ保育園

大阪で9つの保育園※を運営するフェアリーグループ保育園さま。2023年春に開設された「フェアリー保育園本庄東」は、無垢の木を活かした床をはじめ、たくさんの木に包まれた空間になっています。
※2023年11月現在

そこに込められた子どもたちへの眼差しや、いま保育園という場所に求められるもの、空間づくりのポイント・工夫について、フェアリーグループの代表である村上有美さんのお話を伺いました。

娘が通っていた園を守るために、受け継いだバトン。

―村上さんがフェアリー保育園を始められたきっかけを教えていただけますか?

もともと私は、園に娘を預ける側として24時間の認可外保育園にお世話になっていました。しかし、その保育園が閉園を余儀なくされることになり、当時の園長先生からお声かけいただき、保育園を継続して運営できないかと相談を受けたことがきっかけです。

―娘さんが通われていた保育園の園長先生から相談を?

はい。園長先生のご年齢や体調の面などから園の継続が難しくなってしまい、私自身それまでに保育や経営の経験があったわけではなく、右も左もわからないところからのスタートでしたが、バトンを受け継ぐ決意をしました。今からおよそ10年前の2012年のことです。当時は待機児童が大きな問題になっていて、私やまわりの保護者も含めて、たくさんの方々が子どもを預ける場所がなく困っていました。

―困っている方がたくさんいたのですね。

そこから“保育ママ事業”というかたちで、0歳~2歳まで預かりができる小規模保育園として認可を取得しました。私自身、働きながら子育てする中で保育園を利用してきた者として、子どもを預ける側と預かる側、両方の視点をもって、保護者の悩みや要望と向き合ってきました。

こうした経験が、『子どもたちに関わる全ての人たちの笑顔をつないでいく』という法人理念につながっています。現在※は、2023年4月に創設した認可保育園と小規模認可保育園をあわせて9施設の保育園を運営しています。
※この取材は、2023年の春から夏にかけて行いました。

子どもたちを預ける場所がない時代から、保育園を選べる時代へ。

―この10年間のなかで、いくつもの保育園を開設・運営してこられて、どんなことが保育園に求められていると感じますか?

私が長女のために保育園を探していた頃は、そもそも選択肢が無くて、子どもを預かってもらえるだけでありがたいという状況でした。しかしこの10年の間に、子どもたちを受け入れる園の数は増え、待機児童の問題はかなり緩和してきています。

10年前とは、保育園を取りまく状況が大きく変わってきているのですね。

今は、保護者の皆さんが保育園を“選べる”状況。そのなかで“選ばれる保育園”になるにはどうすればいいかということも含めて、保育園のあり方を考える時代に突入してきていると感じます。

「地域おやこ園」として、もっと地域に根ざした保育園を。

2023年4月には、こども家庭庁が発足して、「子どもの最善の利益」を第一として政策を考え、日本全体の少子化問題に取り組もうとしています。もうひとつ大切な考え方が、「誰一人取り残さない」支援。子どもたちを地域社会のみんなでサポートし、子どもの権利を守ることを掲げています。

それに対して、私たち保育園にできることはたくさんあると考えていて、この春「フェアリー保育園本庄東」を開設したのも、もっと地域に根ざした保育園運営をめざしていきたいと考えたからです。

―今回の園は新しい取り組みなのですね。

多くの子どもたちは、3歳で初めての進路選択を迎えます。認可保育園へ進むか、幼稚園へ通うか、認可外保育園か、というように進級先を選び、幼児教育がスタートします。これまでフェアリーグループでは、その前段階にいる子どもたちのために「0・1・2歳児専門」の小規模保育園を手がけ、幼児教育に向かう前の大切な時期を支え、さまざまな園へと巣立っていく子どもたちを見守ってきました。

新しく開設した「フェアリー保育園本庄東」は、0~5歳児までの幅広いお子さんが通える園になっています。さらに、地域の子どもたちや保護者のみなさんを大切にできる「地域おやこ園」として、園に通っていなくても誰もが気軽に立ち寄れる地域にひらかれた場所をめざし、子ども食堂や餅つき大会、夏祭りなど、さまざまな活動を広げていこうとしています。

子どもたちが、家庭と同じくらい時間を過ごす場所。

―空間づくりの面では、どんなことを大切にされましたか?

木のあたたかさやぬくもりを感じられるような園にしたいなと考えていました。「11時間預かり保育」をするということを前提に考え、子どもたちが家庭と同じかそれ以上の時間を過ごす場所なので、いい素材を使って保育園の空間をつくり上げたいと思っていました。

―実際にできあがった空間では、園内のさまざまなところに、木が使われていますね。

フェイクの“木目調”ではなく、本物の“木目”だからこそ伝わる感覚があると感じています。この園では「異年齢時保育」といって異なる年齢の園児との関わりや、いろいろな多様性をもったつながりを通して子どもたちの「生きる力」を育んでいきたいと考えているのですが、“環境”の設定も、子どもたちの成長に影響を与える大切な要素だと考えています。

無垢の木の床にふれたとき、素足で駆けまわる子どもたちや、 ハイハイする乳児の様子が浮かんだ。

―木のなかでも、ウッドワンのものを選んだポイントはどこにあるのでしょうか?

園長先生とも、子どもたちが毎日過ごす空間が大事だと話し合って、空間づくりに活かせる情報を求めて保育事業者向けの展示会に参加したことがきっかけです。

展示されていた床にふれたときに、すごく足ざわりがよくて、子どもたちが素足で歩いたり、駆け足したりしている光景が目に浮かびました。その床を展示していたのがウッドワンで、ブースにいた担当者さんに、木という素材や無垢の木の良さについて教えてもらいました。ウッドワンがニュージーランドで木を育てるところから木材づくりをスタートしていることも知り、木の奥深さを感じることができました。

―実際に無垢の木でつくられた床にふれたことが、きっかけだったのですね。

ずっとさわっていたくなるくらい、足ざわりがいいし、乳児がハイハイしても大丈夫そうだなと思いました。

現物にふれ、話もたくさん聞けたからこそ、たどり着けた選択。

私一人でこの床材を選んだわけではなくて、一緒に展示会に足を運んでいた園長先生や、ほかの先生と後日ウッドワンのショールームに行き、床を選んでいきました。園長先生は、一つひとつの木目の特徴をより感じられる“浮造り仕上げ”の床材をとても気に入り、「子どもたちが裸足で歩いたときや寝転んだとき、絶対に気持ちいいはず!」と感激していて、最終的にその床材を採用することになりました。

無垢の木には、湿度をコントロールしてくれる作用があり、アレルギーや体調不良の要因となるダニやカビ、雑菌などの発生を抑えてくるので、子どもたちの健康面でも安心です。今回床に採り入れているパイン材は特に柔らかい木材で、飛んだり跳ねたりしても、クッション材のように子どもたちを守ってくれます。

さらに、無垢の木は熱伝導率が低いため、手足の熱が奪われにくく冬でもあたたかみを感じられる素材であることにも魅力を感じました。木を適度に使った住まいでは、睡眠の質や翌日の集中力を高めてくれるという実験データもあるそうですね。

単に木材だから良い、というわけではなくて、そこに至るまでに自分自身でも木のことを調べ、ウッドワンの担当者さんにも無垢材のメリット・デメリットなど、たくさん話を聞けたからこそ、ウッドワンの床材なら安心して使用できると思えたのです。

いま保育園で働いている先生たちと完成後にミーティングをしたら、この空間にとても満足してくれていて、建物の完成度の高さにすごく感動していましたよ。子どもたちも、床の上にブロックを広げて遊んだり、電車のおもちゃを走らせたり、寝転んだりして、楽しそうに過ごしています。

手すりひとつにも、いくつもの工夫と配慮を。

―床材のほかにも、園のさまざまなところに無垢の木が活かされていますね。

はい。たとえば、階段の手すりは、かわいくて子どもたちにも先生にも好評です。階ごとに違うデザインのものを採用しているので、子どもたちが手すりのデザインを見て「葉っぱの絵は3階」というように視覚的にわかるように工夫しています。

それから、一見目に見えづらい手すりの裏側にも、子どもたちが手すりを持ちやすいように加工が施されていて、1歳ごろの乳児から、この手すりを両手で持って階段を上ることができています。安全に階段の上り下りができていることも、選定して良かったポイントのひとつです。

―手すりひとつをとっても、視覚的にも、安全の面でも、いろいろな工夫や配慮が込められているのですね。

ウッドワンのみなさんと一つひとつ話し合いながら、かたちにしてきました。ふつうなら、木材のメーカーさんとここまで密にコミュニケーションを取ることは珍しいかもしれませんが、設計者さんたちとの打ち合わせにも参加してもらい、LINEグループもつくってもらって、綿密なやり取りを重ねてきました。

木のぬくもりと園のキャラクターを、いきいき表現したパネル。

フェアリーグループのイメージキャラクター「フェアリー」のパネルも、ウッドワンのみなさんと一緒に制作に力を注いだところです。もともとこのキャラクターは園にいた職員さんが描いてくれたもので、彼女にしか描けないやさしい絵になっています。このキャラクターを、子どもたちが多くの時間を過ごす部屋にパネルとして飾りたいという想いから制作がスタートしました。

2階と3階で絵のストーリーがつながっていくような構想や、木の素地を活かしたイラストの描き方を検討するのに何度も試行錯誤してくれて、およそ2~3ヵ月をかけた制作になりましたが、木のぬくもりを活かしながら、園のキャラクターをいききと表現できていて、つくってよかったと心から思える作品になりました。

先生たちも笑顔で過ごせる、明るく、ぬくもりのある空間に。

それぞれの部屋の入り口に木とイラストを活かした案内板があったり、先生たちの部屋や廊下との間に木枠の室内窓があったり、園全体が明るくて、ぬくもりに包まれた空間になっています。

先ほど、園を選べる時代になっているという話をしましたが、保護者のみなさんも内覧に来られるときは、「安全」への配慮がなされているかなど、さまざまなポイントをチェックされています。そのなかでも一番は、先生が笑顔かどうか、いうところなんですね。保護者アンケートでも「先生がすごく元気そうに笑っていたのが印象的でした」と書いてくださる方もいます。

子どもと日々接する先生たちが気持ち良く笑顔で働くためにも、環境づくりは大切だと考えています。

創業から培ってきた地域とのつながりを、さらに育んでいく。

―お話を伺っていると、本当にたくさんの想いが詰まった保育園なのだなということが伝わってきます。

この場所は、12年前に引き継いだ園から徒歩5分という立地にあり、私たちも親子でこの地域に暮らしています。これまで培ってきた地域とのつながりをさらに育める場所をつくっていきたいという想いがあります。

『子どもたちに関わる全ての人たちの笑顔をつないでいく』という理念を保育士一人ひとりが実践し、子どもたち、保護者のみなさん、地域のみなさんの笑顔をつないでいける保育運営をめざしていきます。

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