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木になるコラム サステナブル

2023.05.05

バイオマス発電とは? 木くずを活用した再生可能エネルギーでカーボンニュートラルを目指す

2023.05.05

# カーボンニュートラル # バイオマス発電 # バイオマス発電とは
中條 聖子

人材採用(新卒・中途採用)に関するメディア、会社案内・入社案内、PR誌、社内報・会報などの編集・原稿制作を手がけています。また、現在はボランティアなどの市民活動に関するジャンルの取材・情報誌の編集を中心に携わっています。

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エネルギー問題は、地球と人間がどうバランスを取って環境を維持していくかに関わる大きなテーマといえます。
いま注目されているのが、「バイオマス発電」を由来とする再生可能エネルギーです。
バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す用語で、「化石資源を除いた、再生可能な生物資源」を指しています。
では、バイオマス発電とは、どういう仕組みや特長を持っているのか、詳しく見ていきましょう。

バイオマス発電とは

バイオマス発電は、生物資源を「直接燃焼」したり、「ガス化」して発電します。その方法としては、①直接燃焼方式、②熱分解ガス化方式、③生物化学的ガス化方式の3種類があります。
つまり火力発電の一種なのですが、なぜ注目されているのか、その特長をまとめてみましょう。

1. 地球温暖化対策

バイオマスを燃焼させるとCO2が発生します。しかしこれは、生物が成長する過程で大気中から吸収したものを放出しているため、新たなCO2の発生にはならないカーボンニュートラルなエネルギーとされています。
そのため、地球温暖化防止の対策として期待が高まっているのです。

2. 循環型社会を構築

バイオマス発電は、これまで活用されてこなかった廃棄物を主な原料としています。どんなものが利用できるのかは、次の項目で解説しますが、廃棄物の再利用や減少が見込まれることから、循環型社会の構築に貢献すると言えます。
循環型社会とは、資源を循環させながら利用し、持続して使い続ける社会のことです。資源が枯渇しないように、また環境への負荷を減らしながら利用していくことを目指しています。

3. 農山漁村の活性化

バイオマスの原料は、多くが農畜産業や水産業を行っている地域に存在しています。たとえば間伐材や家畜の排せつ物といったものがそれに当たります。
これらを活用することで、地域に新たな産業をもたらし、活性化につながるといった効果も見込まれているのです。

4. 地域環境の改善力

廃棄物は、その処理にエネルギーを消費します。たとえばゴミの焼却などもその一例です。これまで捨てられていたものを活用できれば、そうしたエネルギーも削減され、同時に地域の環境改善にも寄与すると言えます。

一方で、バイオマス発電には課題も指摘されています。
最もネックとなるのが、資源が広い地域に分散している点です。そのため、収集や運搬、管理などのコストがかかってしまいます。結果的に小規模分散型の設備になりがちで、運用のコストもまた高くなるというデメリットがあります。
また、資源を安定的に確保できる仕組みづくりも必要とされています。
これらをクリアしていくことが、今後のバイオマス発電の発展につながっていると言えるでしょう。

バイオマスの分類

次に、バイオマスはどのように分類されているのかを見てみましょう。大きくは「乾燥系」「湿潤系」「その他」の3項目に分類されています。

1. 乾燥系

乾燥系には、「木質系」「農業・畜産・水産系」「建築廃材系」の3種類が含まれています。
木質系は、森林の間伐材や材木を切り出す際に残った枝や葉などの林地残材や、製材の時に出る樹皮など。
農業・畜産・水産系は、農作物から出る稲わら・もみ殻・麦わらなどや、鶏ふんなど。
建築廃材系は、建築物を解体する時に出る廃材など。

2. 湿潤系

湿潤系には、「食品産業系」「農業・畜産・水産系」「生活系」の3種類が含まれています。
食品産業系は、食品の製造や調理の過程で出る食品加工廃棄物、水産物の流通の過程で出る魚の内臓や貝殻などの水産加工残渣(ざんさ)など。
農業・畜産・水産系は、牛や豚などの家畜排せつ物。
生活系は、下水の汚泥やし尿、野菜くずなど厨房から出る生ごみなど。

3. その他

その他としては、「製紙工場系」「農業・畜産・水産系」「生活系」の3種類が挙げられています。
製紙工場系は、紙の製造工程で出るパルプ廃液(黒液)、廃材、古紙など。
農業・畜産・水産系は、サトウキビなどの糖質、トウモロコシ・サツマイモなどのでんぷん、菜種・やし油などの油脂。
生活系は、食品加工工場や飲食店などから出る使用済みの産業食用油。

なお、以上の分類方法とは別に、「廃棄物系」「未利用」「資源作物」という分類方法もあります。

【出典】経済産業省 資源エネルギー庁「バイオマス発電」、九州農政局「バイオマスとは?

 

このように、さまざまなものが環境にやさしいエネルギー源として活用できるバイオマス発電は、今後さらに推進されていくでしょう。

ウッドワンのバイオマス発電によるカーボンニュートラルへの取り組み

ウッドワン バイオマス発電所(広島県廿日市市)

ウッドワンでは、木くずを活用した再生可能エネルギーで、カーボンニュートラルを目指しています。

木質系バイオマスである木くずは、先にも述べたように間伐や製材などの際に使われなかった部分で、この活用は非常に注目されているところです。

ウッドワンは、早くからエネルギー源としての木くずの有効活用に着目していました。1980年4月に愛知県蒲郡市の工場で、工場の廃材(木くず、木皮)を利用したバイオマス発電設備を導入しています。これは業界初の取り組みであり、先駆けとしての実績を作りました。また、木くずを熱源として塗装の乾燥ドライヤーに利用するなど、積極的に資源を活かす方針を打ち出しています。それ以前は灯油燃料を主体としていましたが、バイオマス発電の導入によりそれが不要となり、電力料も約3分の1になったと記録されています。

そして現在、その取り組みはさらに進化を遂げました。

2022年4月1日より、バイオマス発電で作られた電力はFIT(固定買取制度)を利用し全量売電した後、環境価値とウッドワンバイオマス発電所の属性情報を付与した「トラッキング非化石証書」を購入することで、実質的にCO2排出量ゼロの電気を国内製造拠点で使用しています。これにより、同社の国内すべての製造拠点で使用する電力が、自社発電の再生可能エネルギーの電力へ切り替わることとなりました。これは同社が使用する電力量の約75%に相当します。

事業活動における環境負荷軽減を課題のひとつとし、2015年に新設したバイオマス発電所の目指してきた形を実現させました。

自社の資源を最大限に活かし、循環型社会の構築に貢献していく未来を考えたウッドワンの取り組みは、今後も発展を続けていきます。

□ウッドワン サステナビリティサイトをみる

ウッドワン サステナビリティレポートをみる

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