実大振動実験:震度7の揺れに10回連続で耐え抜いた家 ワンズキューボ

  1. 1回目
    熊本地震前震
    2016年4月14日発生
    震度7
  2. 2回目
    熊本地震本震
    2016年4月16日発生
    震度7
  3. 3回目
    東北地方太平洋沖地震
    2011年3月11日発生
    震度7
    観測地振波の120%(※1)
  4. 4回目
    兵庫県南部地震
    1995年1月17日発生
    震度7
    観測地振波の110%(※1)
  5. 5回目
    新潟県中越地震
    2004年10月23日発生
    震度7
  6. 6回目
    兵庫県南部地震
    1995年1月17日発生
    震度7
    観測地振波の110%(※1)
  7. 7回目
    兵庫県南部地震
    1995年1月17日発生
    震度7
    観測地振波の200%(※2)
  8. 8回目
    兵庫県南部地震
    1995年1月17日発生
    震度7
    観測地振波の200%(※2)
  9. 9回目
    兵庫県南部地震
    1995年1月17日発生
    震度7
    観測地振波の110%(※1)
  10. 10回目
    兵庫県南部地震
    1995年1月17日発生
    震度7
    観測地振波の110%(※1)

※1: 観測地震波は震度6強であるため、加速度を110%・120%にして震度7とした。
※2:観測地震波震度6強の加速度に対し200%とした。

震度7の地震を10回連続で加振実験

南海トラフを震源としたマグニチュード9以上の地震が発生する可能性が国からも公表されています。2017年に入ってから日本列島各地で震度3以上の地震がすでに70回以上発生しています。また、台風が北海道に上陸したり、大型化の傾向にもあります。ゲリラ豪雨の頻発や局地的集中豪雨、竜巻の発生など、日本列島をとりまく自然環境は、大き<変わってきています。残念ながら、今までの常識や経験値だけでは対処不可能な自然災害、特に大きな地震が近い将来来ることを現実問題として考える必要があります。そこでウッドワンは、「ワンズキューボ」が今まで日本列島で発生した「震度7」の地震に耐えられるのか、実大実験を行いました。

茨城県つくば市にある「国立研究開発法人土木研究所」の振動実権棟で行いました。

震度7の後でも暮らせる家が必要

激動期に入ったとみられる現在の地球

南海トラフを震源とした大地震が発生する可能性が国からも公表されていると同時に、これまで長い時間をかけて積み重ねてきた地展予知に関する研究でも、正確な地震の予知は困難だという報告も最近発表されました。
地球規模で考えた時、現在は激動期に入っているという分析もあります。地球上で発生している震度6以上の地震の3割近くが日本列島附近で発生していることを踏まえてみても、少なからず大きな地震が近いうちに発生することは間違いありません。

気候変動による外的な影響の強大化

地震だけでなく、世界各地で発生している気候変動に伴う自然災害も見逃すことができません。台風の強大化やゲリラ豪雨など、住宅を取り巻く環境が大きく変わってきています。地震はもちろん、風による外圧、雨による影響も考慮しながら住まいを設計する必要があります。
現在の建築基準法は1950年(昭和25年)に制定され、2000年(平成12年)に品確法による耐震基準が制定されましたが、その後も2011年(平成23年)に東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)、2016年(平成28年)には熊本地震と震度7クラスの巨大地震が発生しています。

経験していない強い揺れや繰り返す揺れの発生

また、地震計測の技術や観測網が進化することにより、震源地近くでの観測も可能になり、東日本大震災や熊本地震のように、直下型の揺れでは想定以上の大きな揺れが発生することも分かり、さらに震度7クラスの揺れが何度も繰り返すということも分かってきています。我々人類の経験や知見ではまだまだ分からないことも多く、想定以上のことが起きうる可能性が非常に高まってきています。

震度7の巨大地震を10回繰り返して実験

私たちは、この20年間の間に震度7クラスの巨大地震を何度も経験していることから、少なくともその経験を生かした住まいづくりが必要だと考え、5年前から「耐震等級3」の住宅「ワンズキューボ」を開発してきました。
建築基準法で定める性能を超えた独自の厳しい基準を設け、本当に震度7クラスの揺れに耐えることができるのか、茨城県つくば市にある「国立研究開発法人土木研究所」の三次元振動台装置を使用して、これまで日本列島を襲った震度7クラスの地震を連続して加振するという、大変厳しい実験内容です。
1回目は熊本地震前震。2回目は熊本地震本震。3回目は束北地方太平洋沖地震(東日本大震災)観測地震波の120%。4回目は兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)JR鷹取観測波の 110%。5回目は新潟県中越地震。6回目は兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)神戸海洋気象台観測波の110%。
以上6回の震度7の揺れに加えて、さらに兵庫県南部地震観測波の200%加振を与えた実験を計10回連続して行い震度7の後でも「ワンズキューボ」の家は果たして暮らし続けることができるかどうかを検証しました。

大橋好光教授

東京都市大学教授・工学博士。日本の木質構造建築研究の第一人者。
今回の振動実験で総合監修を行っていただいた。

能本地震は、気象庁震度階級では最も大きい震度7を観測する地震が2016年(平成28年)4月14日夜および4月16日未明に発生したほか、最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生している。一連の地震活動において、現在の気象庁震度階級が制定されてから初めて震度7が2回観測された。また、 一連の地震回数(M3.5以上)は内陸型地震では1995年以降で最多となっている。

東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、大規模な地震災害であることから大震災と呼称される。マグニチュ ー ドはM9.0で、日本の観測史上最大規模の地震。

兵暉県南部地震は兵庫県南部を中心に大きな被害と発生当時戦後最多となる死者を出す阪神・淡路大震災を引き起こした。日本で初めて大都市直下を震源とする大地震で、気象庁の震度階級に震度7が導入されてから初めて最大震度7が記録された地震である。

新潟県中越地震は地震の規模を示すマグニチードはM6.8、最大震度7を記録。さらに震度6強の地震が立て続けに3度発生し、中越地方は壊滅的な打撃を受けた。震源の浅い典型的な直下型地震が被害を大きくした。

Experiment: 実験[震度7×10回連続 加振] Experiment: 実験[震度7×10回連続 加振]

AfterReport:検証

  • 大橋教授(左)は「想像していた以上の強さに驚いた」と「ワンズキューボ」の強さに感心。

  • 間仕切リ壁や吊りドアの開閉にも影響がなく、地震後の生活もできる空間が維持されていた。ドアを閉じた状態。

  • こちらはドアを開けた状態。

  • 室内に設置した家具は大きな揺れで移動し、小物類は激しく散乱。テーブル上にあった小物はすべて飛び散っている。

  • 震度7の加振実験を何度も重ねると、窓などの開口部周辺では石膏ボードにヒビ割れが見られた。

  • 同じように壁紙にもシワや破れが見られたが、 間仕切り壁(らく壁くん)や吊り戸枠周辺には大きな損傷はなく、ドアの開閉も可能だった。

  • 筋交い結合部ではほとんど破断が見られず、構造材であるJWOOD LVLと金物工法の耐震性の高さを実証した。

  • 柱頭部の金物(左)と柱脚部の金物(右)。10回の加振実験後もほとんど変形していないことが分かる。

外周壁で耐力をもたせ1階と2階の壁の位置を合わせることで直下率を高め、強い家の基本構造とする設計ルールが「ワンズキューボ」の設計コンセプト。
2階はスケルトンで間仕切り壁で間取りを変えられる構造としました。

なぜ震度7に10回も耐えられたのか

耐震性能に優れた住宅工法と言える

今回震度7クラスの揺れを実験する「ワンズキューボ」は、長期優良住宅仕様・耐震等級3。JWOOD LVLプラス金物工法による在来軸組木造工法。延床面積は約30坪。2階はスケルトンで、後間仕切り式で壁を自由に配置できるようになっています。LVLによる構造柱、耐力壁の配置が予め計算されている標準仕様の「ワンズキューボ(規格型)」で実験に望みました。

耐震等級3の「ワンズキューボ」は、JWOODと呼ばれるLVL構造材、専用の金物で基本構造が組み立てられています。そして、2階の壁が1階の壁の上に配置された「直下率」が高い設計になっているのも大きな特徴です。高い品質にバラつきのないJWOODLVLと専用金物、基本設計をきちんと考えられた「ワンズキューボ」は、現時点で耐震性能にとても優れた住宅工法と言うことができます。
結果的に10回の震度7の揺れを経ても、吊り引戸の開閉にも問題なく、6回の実験が終わった時点では室内にも外観にも大きな損傷は見当たりませんでした。つまり、熊本地震のように震度7の地震が複数回発生した後でも、必要に応じて補修をすればそのまま自宅に住み続けることができる、生活を守ることのできる木の家だと言えます。「建築基準法は家が倒壊しない最低限の基準でしかなく、住宅性能評価で定められている最高等級・耐震等級3の家こそ、これからの時代のスタンダードになっていく」と大橋先生は語ります。
そういう意味で「ワンズキューボ(規格型)」は、初めての住まいとしても充分に手の届く価格帯であり、安心して家族の命を守ることのできる、これからの日本列島で求められてくる住宅だと言えます。

JWOODLVLと専用金物