WOODONE

2021 最優秀賞(伊東豊雄賞)

群馬県

地続きの建築

関東平野を見下ろす山の中腹。「傾いた大地の上にいること」を感じられる暮らしを作りたいと思った。といってもナマの大地に人が暮らすのは難しい。地面は裸足だと痛いし、斜面では安眠できない。少しだけ自然と折り合いをつけ、住める場所にしていく。素足で地面を踏みしめられるように斜面をなめらかなモルタルで覆う。その上に身を安定させる水平の床を幾つか架け生活に対応する。足の裏は地面の揺らぎと静けさを感受する。坂を下るときは胸を張り、街を見下ろし、重力にまかせ家族のひろばへ飛び込む。上るときは頭を垂れ、ふくらはぎに力を込め、個の巣へと帰る。脳は上り下りする手足と連動し、全体を見渡す思考と部分を見つめる思考を行き来する。身体でここに住む。毎日の暮らしの中で、知らず知らずに住まい手の感覚が研ぎ澄まされていく。その物語こそが、緩やかな斜面という対象の中に建ち現れた「建築」だと感じている。