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アナザーストーリー

カテゴリ : 木で出来たプロダクト

第40回 たかが?されど?“まな板”について考えてみる。
お母さんが、または奥さんが、台所でネギを刻むトントンというまな板の音に目が覚めて・・という情景は、ほとんど昔話になりつつあります。中には包丁やまな板すら置かないご家庭もあるそうで、日本の食文化も様変わりしつつあるようですね。

それはともかく改めてまな板を見直してみると、これはもうただの板。中には中華料理に使われる、どっしりとした切り株のようなまな板もありますが、かつて和食・洋食・中華の厨房では無垢の木でできた一枚の板が据えられていました。ところが昨今では、木に代わってプラスチックや硬質ゴムのまな板が多くなっています。

事情をすこし年配の調理師さんに聞いてみました。木製よりプラスチックが多くなってきたのは約15~20年くらい前からだそう。木製まな板しか無いころは、まだ包丁を持たせてもらえない新人が一日の終いにまな板をタワシで洗うことが日課でした。表面が傷だらけになってくると、カンナで削って新品のように再生しながら使っていたとのことです。そのお店で、魚をおろすだけに使っているという無垢一枚板のまな板を見せていただきました。およそ60cm×40cmの朴(ほお)の木の特注だったそうです。最初はもっと厚かったのに、何度も削ったからすっかり痩せたと言われましたが、それでもまだ杢目がしっかり見え、毎日大切に扱われている様子を窺い知ることができます。

朴(ほお)の木とはモクレン科に属し、本州を中心に日本各地に自生する落葉高木です。朴材(ほおざい)は刀の白鞘にも使われているように、堅い木でありながら適度な弾力があって復元力も強いため、刃も鞘も傷みにくいことから使われています。

まな板としては食材を切るため何度も刃を当てる捌(さば)きをしても傷が残りにくいだけではなく、包丁の力を適度に受け止めてくれて刃が滑りにくいために捌(さば)き台としては理想的な木材なのです。さらに水切れが良いので、野菜だけではなく肉や魚を乗せても臭いが残りにくい特性も持ち合わせています。

調理師でもない私たちにとってはただの1枚板と思っていましたが、こうして無垢材のまな板を目の当たりにすると、改めて木であることの良さを納得することができますね。