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アナザーストーリー

カテゴリ : 木で出来たプロダクト

第34回 和菓子職人の道具「木型」は、桜板を使ったレリーフ芸術。
和菓子職人の道具のひとつに「木型」があります。桜の板材に四季の草花や鶴亀などを彫り込み、和菓子成形の型として使われています。代表的なところで、仏事や進物、茶席に使われる“落雁(らくがん)”は、米や大豆の粉をベースに砂糖と水を加えて練った素材をこういう木型で成形しています。発祥は平安時代からという説もありますが、現代のような様式で本格的な木型になったのは、江戸時代中期からとするのが妥当でしょう。

もっとも近年は、肝心の木型を彫り込む職人さんが全国でも10人に満たないそう。簡単な梅や桜・菊などの花弁文様であれば、機械を使って大量に削り出すこともできるでしょう。しかしもっと微妙な造形を彫り込むとなると、なかなかこうはいきません。一つずつ手彫りされた製品は、レリーフとして見ても芸術品に称されても遜色がないほどです。

ご多分に漏れずこの世界にもシリコン製の型が売り出されています。ところが和菓子職人さんの立場で使い勝手を伺うと、木製の方が適度に湿気を保ってくれて製品のヌケにおいても勝るそう。そうでなければ彫金技術が発達していた日本のこと、とっくに金型に代わっていますよとおっしゃっていました。ある意味これも、木の文化を持っていた日本ならではの道具、またそれを芸術の域にまで高めた彫刻職人さんへも感謝したいところです。

機会があればこの観点で、落雁や和菓子をじっくりと眺めてみてください。