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アナザーストーリー

カテゴリ : 木で出来たプロダクト

第33回 古民家解体で見直した「竹釘(くぎ)」。
古民家の解体現場に行き合う機会がありました。作業をしていらっしゃる方に伺うと、建て方から察するにおよそ江戸前期ころの民家ではないかということでした。

煤けた太い梁や柱はさすがに見事だったのですが、それよりもっと面白かったのは随所に竹釘が多く見られたことです。最初に気がついたのは、仏壇が安置されていたスペース3方を囲んでいる板張り壁。桟に板を打ちつけているだけですが、とめてあったのは全て直径3-4mmくらいの竹釘でした。職人さんに聞くとその他に天井板を押さえるにも竹釘が使ってあったそうです。打ち込んだ竹釘も板も煤けているので、一体化していてちょっと見ただけでは気づきにくく、丁度釘穴を木や竹で塞いで目立たなくする、ダボ仕上げと同じような感じです。これが鉄釘だと経年とともにサビが浮いて朽ちてしまっていた事でしょう。桟に入っていた部分はまだ竹の繊維が視認できるほど痛みが無かったことも驚きです。隣接する漬け物小屋でも土壁の内側腰高あたりまで板が張ってありましたが、これをとめるにも竹釘が使われていました。考えてみるとこういう場所は、湿気や塩気が他所よりも多かったはず。もし鉄釘を使っていたとしたら、錆と腐食でずっと早い時期に張り替え修繕をする必要があったのではないでしょうか。

竹釘は、真竹から1本づつ手作業で削るとのこと。頭になる部分を上に、竹の根本の方向に向かって尖らすなど、製作工程にも使い勝手の知恵があるようです。それにしても1軒の家で数百から数千の釘が必要と考えると、大変な手間と作業だったことが伺えます。

今回は偶然目にすることになった竹釘ですが、家屋を長く生かすために素材の特性を存分に生かす知恵を見直す事ができたのは幸いでした。