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アナザーストーリー

カテゴリ : 木にまつわるエトセトラ

第24回 セルロイドは、化学と自然のコラボレーションで生まれた。
プラスチックが実用化される以前の合成樹脂製品と言えばセルロイド。
団塊世代にとっては懐かしい名前ですが、成形性が高い性質を利用して、万年筆の軸や筆箱などの文房具から、眼鏡フレーム、玩具などの多くの製品に使われていました。

実はこのセルロイド、意外にも楠(クスノキ)のチップと綿を硝酸でニトロ化することで作られていたのです。ですから、完全に化学合成で作られるプラスチックと違い、植物素材をベースにしているセルロイドは土に還ってしまうそう。欠点は摩擦熱でも発火することがあるほど可燃性が高いこと。

プラスチックの登場でだんだん使われなくなり、今では趣味的な製品以外ほとんど見かけることもなくなりました。
科学的なイメージの合成樹脂と、自然樹木である楠の関係を知ると意外な感じがしますが、これは楠に含まれている樟脳成分がセルロイドの素材に使えたからです。

楠は神社や公園などで20mを超える大木もある、一年を通じて緑の葉が生い茂る広葉樹として馴染みの深い木です。この木を伐採して精製される樟脳は、昭和の中頃までに盛んに作られていました。
しかし精製に手間がかかることと、人工的な代替品の登場で、今ではあまり製造されていません。とは言え、もともと心地よい芳香性のある緻密な木質です。しかも防虫効果もあるので、楠はいまでも建材や家具材として使われながら私たちの身のまわりで役に立つ木として知られています。